2017/05/23

プラモデル制作(+関連ツール使用感)雑感 その1

 今年、もとい今年度に入ってから立て続けに三体もプラモを組んでいる。
 ついでに道具への出費が大変なことになっている。

 元々プラモ自体は好きで、子供の頃から定期的に組んでいた。スタンスは素組のみ。場合によってはスミ入れをするが、塗装はしない。パーツの切り出しにアートナイフも使うようになったのが高校卒業以降で、それまでは基本的に安物ニッパーの一度切りの切りっぱなしでそのまま組んでいた。つまりトーシロもいいとこ。
 今までガンプラしか組んだ経験無かったのだが、今回初めてガンプラ以外に手を出した。リアル変態企業の一角として名高いコトブキヤのACV.I.シリーズである。ブキヤのはパーツこまいから上級者向けと聞いていたので、購入時はかなりおっかなびっくりな調子だった。
 んで、ここんとこ年単位でプラモ触ってなかったし道具とか大丈夫かとチェックしたら案の定プラモ制作の要ことニッパーがあかんことになっていて、折角本腰入れて作るんだしこの機会に買い揃えてみるかと色々道具も購入。……ただ、予想以上に色々買い込む羽目になって今回組んだプラモ三体分を軽くオーバーする金が吹っ飛んだ。ニッパーって奥が深いのね…

 と、言うわけで。
 今回組んだプラモやら使った道具やらをちまちまと雑感していく次第。



<キット:コトブキヤ ACV.I.シリーズ ノブリス・オブリージュ>

 久方振りのプラモ制作、その前座はノブリス。

 三体立て続けのプラモ制作だが、当初購入したのは一つのみで、残り二つ、特に最後の三つ目などは完全にノリで衝動買いしたイレギュラーだったりする。前座であるノブリスも衝動買いの範疇。

 というのも。
 本命を購入後、さあ制作開始だと意気込んだところでふと、
「……つか、プラモ作んの結構ブランクあるわけだし、ただでさえ難易度高いと評判のACV.I.シリーズを、いきなり本命作っちゃうのか?」
 と思ってしまったわけで。ここは一度肩慣らしをしておきたいと考え、本命にいきなり放置プレイかまして追加購入、先んじて作ってしまったのがノブリスなのである。

 兎にも角にも、初挑戦のACV.I.として挑んだノブリス。実際に作って思ったのは、

「やべぇゲート処理すげぇ時間掛かる……!?」

 今回、ほぼ全てのパーツでニッパーによる二度切りとアートナイフによる鉋掛けを、そしてこれは場合やら気分やらやる気次第だが、耐水ペーパーを用いたヤスリ掛け(600→1000→2000)も試みた結果、制作が遅々として進まず、極めて地道な作業を数日間に渡って延々続ける羽目となった。
 そも、後々の二体目、そして特に三体目を組んでよーく分かったが、ブキヤのキットは二度切りからの鉋掛けまでやらないとパーツがキレイにならないのだ。四角い形状のゲートがパーツの際にしっかり存在していることが多く、ある程度均しておかないと非常に目立つ。外は言わずもがな、内も下手にゲート残してると他のパーツと組み合わせた際に干渉するので、出来ればきっちりヤスっておきたいが、手間が更に増えることを考えると悩ましいところ。
 幸い、後述の通り今回の連続制作は色々と道具を買い込んだり買い足したりしながらの作業だったので、まあ何とかなった。特にちゃんとしたプラモ用ニッパーの効果は大きい。切れ方やゲートの位置次第では完全にツライチになるまで均さなくても何とかなるので、手間がガクッと減る。薄刃ニッパー、優秀。

 ノブリスそのものの話だが、…………非常に組み甲斐がありました。(半ギレ
 中心となるフレームを組んでから装甲を載せていく、というスタイルが多いガンプラと異なり、複数のブロックを組み立ててからパズルよろしく組み合わせて完成させるため、ガンプラとは違った組み心地。……そしてパーツ分割が鬼。(ぐったり
 目で見える大きめのモールドは別パーツ化されていると言っても過言ではなく、それ故パーツ量が結構なことになっていた。しかもそのほぼ全てに前述のゲート処理を行う訳で、……大変じゃないわけがないだろうというか。
 だがそのおかげで腕とか脚とかコアとかが一つ一つ組み上がった際の達成感は抜群。パーツが細かい≒情報量が多いということでもあるので、単純なサイズ(ガンプラで言う所のMGクラス)以上の存在感を放っている。
 そして全て組んで完成させた時は、掛かった手間暇の莫大さもあったとはいえ、その圧倒的なディテールに暫し言葉を失って惚れ惚れしたほど。あの「破壊天使」が立体として目の前に君臨しているインパクトは、筆舌に尽くし難い。プラモを完成させて「美しい…」と呟いてしまったのは、おそらく人生初だと思う。
 鬼のようなパーツ分割と細かいモールドがもたらす情報の密度は凄まじく、また存外しっかりマルチカラーしている(白二種、黒、金)ことも相俟って、もはやスミ入れなど不要なのではと思ってしまうほど。原作中でも象徴性の高さが謳われているローゼンタール(のオーギルフレーム)だが、立体をリアルで見るとそんな設定に違和感を覚えなくなってしまう。本当に素晴らしく映える。

 地味に有り難いのは、ノブリス(もといオーギル)は下半身が結構ガッチリしたデザインで「足」も大きめ故、接地させた際の安定感がとても良好であること。羽レーザーにも負けずしっかり自立してくれるのだ。
 逆に、スタンド等を用いて浮かせようとするとキット自体の重量が結構かさんで浮かし辛いので、半固定状態で飾るならいっそ適当な飾り用の台座にフツーの両面テープ(ナイスタックの標準版とか)貼ってくっつけてしまうと良い。浮かせる場合は同メーカーのフライングベースRをオススメ……出来れば良かったのだが、余り推奨出来ない。詳細は後述。

 本命に挑む前の前哨戦として組んだノブリスだが、ACV.I.シリーズの難易度を知るという当初の目的を達成した以上に、ノブリスそれ自体の出来にすっかり魅了されてしまった。破壊天使、美しいです。
 また、本命も組んだ後だから言えることだが、本命に比べればノブリスはかなり組みやすい方だったと思う。どうしても知名度で本命に敵わそうなノブリスだが、出来は本物なのでAC4・fAを知っている方には是非手に取ってもらいたいキットである。



<道具:タミヤ クラフトツールシリーズ No.35 薄刃ニッパー 74035ゴッドハンド PN-120 片刃ニッパー

 本命キットを購入時に同時購入し、一体目のノブリスと二体目の本命を組む際に使用したニッパー。
 タミヤの薄刃を専らノブリスに、PN-120を二体目に使用していた。

 それまで使っていた適当な安物ニッパーと比較して、どちらも段違いの切れ味を誇り、特にPN-120は初めて使った際とても驚かされた。ぱちん、ぷちん、なんて感覚ではなく、とすん、とランナーから切り離せるものだから、素で困惑してしまったほど。
 タミヤの薄刃は先端付近の刃幅が細めで隙間に突っ込みやすいので、ランナーからゲートを少々残して切り離すのに便利。そのまま薄刃使って二度切りしてもそうそう問題は無いのだが、自分はそこでPN-120を使って仕上げていた。時としてアートナイフが不要、そうでなくともちょっとした鉋掛け程度で綺麗になるのは、流石モデラー御用達のゴッドハンドである。

 素組派、それもシールすら最低限という超にわかモデラーもどきな自分にとっては非常に有り難いツールだが、地味に値段が張る。何せ二つ合わせて買うと下手すりゃHGUCが複数購入出来る(2k強×2≒5k弱)。これを勿体無いと思うか、そんなもんだろ道具なんぞと思うか、どちらの感想を抱くかは人次第だろうが、少なくとも定期的にプラモ組んでいくのであればあって損はないだろう。初期投資は重要。
 またどちらにも弱点はある。タミヤの薄刃はパーツ表面ギリギリで一気にゲートを切ろうとすると白化しやすい。PN-120は片刃ニッパーという特性上、パーツ表面で刃を滑らせて切断しても僅かにゲートが残りやすい。後者は工夫すれば一発でツライチ並の滑らかさに出来なくもないが、パーツのエッジを髪の毛の細さほどもいでしまうこともあって悩みどころ。考え方を変えればいっそアートナイフの使い方を体得する良い機会なので、練習するのがいいだろう。



<道具:オルファ リミテッドAK アートナイフ Ltd-09

 アートナイフ自体は結構前から愛用していたが、如何せん一番安いタイプを使っていたので経年劣化でガタが来ており、折角なので新調。全金属製のどっしりした重量感が安心感を与えてくれる。密林のレビューには重すぎるという声もあるが、独ステッドラーの金属製製図シャーペンとか愛用している身からするとコレくらいが丁度良い。
 アートナイフプロシリーズの替刃(直線曲線)も纏めて購入したが、今んトコはデフォルトもとい昔から使っているアートナイフの替刃の在庫を消費中。キット一つで二、三枚くらいの替刃を消費する感じ。欲を言えば片腕や片足毎に新調すると良いかも。



<道具:タミヤ クラフトツールシリーズ No.104 ベーシックヤスリセット 74104

 今まで持っていた金属ヤスリは100均の安物だったので、ちゃんとしたものをと思い購入。ホントにスタンダードな金属ヤスリの三本セット。
 ただ、後述の「更に便利なヤスリ」の存在もあって今回の使用頻度はお世辞にも高いとは言えなかったが…



<道具:ウェーブ 極細ニードルピンセット 4本組

 プラモ製作でも愛用していた電工向けツル首ピンセットが結構ヒドいことになっていたためコレも購入。ツル首や平など四種類入っていて色々使える。
 ノブリスでは殆ど出番がなかったのだが、色々あって組んだ後にバラすことが多かった二体目やシール貼りの必要があった三体目では非常に活躍してくれた。



その2へ続く。

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